苦手なあの人とどう付き合う?⑥~思考タイプ~(アナライザー)
これまでアドラー心理学とは異なる「ソーシャルスタイル」という視点から、人間の個性をタイプ別に3つ見てした。そして今回、マトリックス図の最後、4つめの象限に来るのが「思考タイプ」(アナライザー)です。
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このタイプがマトリックス図のどこに位置するかというと、「感情表現度」及び「思考表現度」が共に「低い」という所になります。ここで注意ですが、「低い」というのは決して「劣っている」ことを意味しません。ここで使われる「低い」「高い」はあくまで個性であり、決して「優劣」を示すものではないと、押さえていただきたいと思います。
では、このタイプの人の特徴について、詳しく見ていきたいと思います。
~思考タイプ(アナライザー)の特徴とは?~
このタイプの人の特徴を一言で表現すると、それは「分析家」です。論理的思考に長けていて、常に客観的な視点で状況を把握します。物事に取り組む時も計画性を持ち、細かい分析を駆使して、粘り強く正確にやり遂げます。計画性を重視することから、結果よりもそこに至るプロセスを大事にします。
感情はあまり表に出さないタイプです。人との関わりが得意ではなく、大人数で行動することが苦手です。孤独な環境で、マイペースで取り組む方が本人にとっては心地良いのです。
基本的に控えめな性格で、自己主張をせず対立を避けようとします。筋道を立てて慎重に意思決定をするので決断に時間がかかりますが、問題の解決には粘り強い力を発揮します。
~思考タイプ(アナライザー)の弱点は?~
では、思考タイプ(アナライザー)の弱みはどんなところにあるのでしょうか?過度にストレスが掛かった状況になると、このタイプの人は「回避的」になります。投げやりになって、目の前の問題から避けるようになります。口数を減らすことで問題への関わりを避けようとします。また何かを発言する際は理屈っぽくなります。理屈をつけることで問題を回避するという行動に出るのです。
~思考タイプ(アナライザー)へのアプローチは?~
慎重でプロセスを重視する性格です。決断を急がせることは良くありません。本人のペースに合わせることが大切です。また論理や客観性を重視する性格でもあります。よって、「あれは、どんな感じですか?」といった曖昧な質問は不快に感じます。「この半年間の売上低下について、どんな要因が考えられますか?」という具体的な質問の方が本人は心地良く感じます。きっとデータに基づいた詳細な答えを提供してくれるでしょう。
会話では筋道を立てて1から10まで話したいタイプです。きちんと時間を取って聞いてあげましょう。また、このタイプの人にプレゼンなどする場合も論理や客観性に基づいている事が重要です。ですから必ず根拠を示し、具体的に話すと効果的です。話に論理的矛盾があったり、「なんとなく~」などと根拠に乏しい話をすると、本人はその内容を受け入れないので注意してください。
人への関心は強い方ではありません。他人だけでなく、自分が褒められることにも関心を示しません。ですから「君、すごいな!」よりも「この分析は詳細でわかりやすいね」と、やり遂げた「成果」に着目し方が本人は喜びを感じます。
以上が思考タイプ(アナライザー)の解説になります。皆さんの職場にも似たタイプの人はいますでしょうか?
これで4つのタイプ全ての説明が終わったことになります。職場で部下や顧客に対してこれらのタイプ分けを意識すれば、その関係性に何かしらポジティブな変化が起きると思います。因みに私も自分が実施する会議ファシリテーションで、このタイプ分けをかなり参考にしています。(⇒ファシリテーションについては㈱プログレスの「アドラー会議」を参考にしてください。)
次回は、「苦手なあの人とどう付き合う?」の最終回。これまで紹介してきた4つのタイプのうち最も相性が良くない組み合わせについて、その対応も含め見ていきます。
ありがとうございました。
渡邉幸生
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