苦手なあの人とどう付き合う?③~感覚タイプ(プロモーター)~
「苦手なあの人とどう付き合う?」とういうタイトルで見てきたソーシャルスタイルも今回で3回目となりました。これからいよいよ4つのタイプ、それぞれについて説明していきます。
これまでのおさらい
その前に、軽く過去2回分の要点を振り返ってみます。
まず「苦手なあの人とどう付き合う?」の初回の要点からいきましょう。
・ソーシャルスタイルとは、社会行動科学の見地から人を4つのタイプに分類する。
・自分を含む人それぞれがどんなタイプなのかを把握することで、相手に合わせた適切な対応が可能となり人間関係の向上に役立つ。
・しかし全人類を4つにタイプ分けできるかというと例外も多々あるので、タイプ分けへの過信は禁物である。
・4つのタイプにどう分けるかは、2つの軸を直角に交差させることでできるマトリックス4象限によってあらわすことができる。
・交差させる2つの軸とは一つは「感情表現度」、もう一つは「思考表現度」である。
⇒詳細は「苦手なあの人との付き合い方」へ
次に前回の内容を振り返りたいと思います。
・「感情表現度」とは感情が表に出るか、否かの尺度である。感情が表に出やすい人は感情表現度が高く、逆に感情が表に出にくい人は感情表現度が低いと見ることができる。
・思考表現度とは自分の考えていることを主張するか、否かの尺度である。主張的な人は思考表現度が高い、あまり主張しない非主張的な人は思考表現度が低いと見ることできる。
・これら感情表現度の「高い・低い」、思考表現度の「高い・低い」を組み合わせることで4つのタイプに分けることができる。
・各軸の「高い・低い」は良し悪しではなく、その人の個性であると認識する。
感覚タイプ(プロモーター)とは?
今回の記事では「感覚タイプ」または「プロモーター」とも言われるタイプについて説明します。こちらは、感情表現度と思考表現度のいずれも「高い」タイプということになります。
このタイプの特徴はとにかく注目されること、承認されることが大好きで、他者から褒められると一層頑張りを見せる傾向があります。そして、とても社交的で盛り上げ上手。職場にも活気をもたらします。このタイプの人はアイデアが豊富で、順応性も高い。話をするのが大好きでよくしゃべりますが、その一方であまり人の話には耳を傾けません。また、やや飽きっぽい一面もあります。熱しやすく冷めやすいと言ったところでしょうか。
思考に関しては論理的というよりは直観に頼ったり、感覚的に物事を決めたりします。ですから話をしていても「~的な」や「~な感じ」「~なイメージ」といった抽象的な言葉を多く使う傾向があります。物事を理解する時も細かい部分からというよりも、ざっくりとした大まかところから理解していく傾向があります。
感覚タイプ(プロモーター)の弱点は?
このタイプの人にはどんな弱みがあるのでしょうか?人は困難に直面したり、問題を抱えたりするなどストレスにさらされると、その人特有の反応を見せます。そこから感覚タイプ(プロモーター)の弱みを見ていきたいと思います。
一言で言うと、このタイプの人は非常に「攻撃的」になります。もともと感情表現度が高く、思考表現も高いわけですから、ストレスにさらされると感情的になり、さらに厳しいものを言い方になります。自分が褒められるのは好きな反面、批判されることは殊更嫌うタイプですから、自分に降りかかる厄介事に関しては、つい他人を責めてたて、きつくあたってしまいます。また言葉だけでなく行動面でも感情的になりがちです。機嫌が悪いときなどはロッカーの扉や机の引き出しを「バンっ!」と、大きな音をたてて閉めたり、書類などを机の上へ雑に放り投げたりしてしまいます。周囲から見て、その日の機嫌がすぐわかるような態度をとってしまうのです。
これは私の経験上ですが、これまで多くの企業を訪問してこの感覚タイプ(プロモーター)の話をすると、たいていの組織で「典型的に~さんのことだ!」「あの人以外、思い浮かばない!」などの声があがります。他のタイプを説明してもそのような言葉は出てこないのですが、不思議なことに感覚タイプ(プロモーター)だけは、そうした声が上がりがちです。このタイプは喜怒哀楽が激しく、その感情が表に出やすいので他人から見てもわかりやすいのかもしれません。
感覚タイプ(プロモーター)へのアプローチ法は?
では感覚タイプ(プロモーター)へはどんな対応を取るべきなのでしょうか?
このタイプは細かいことより、大まかなことから理解していく傾向があります。ですからこのタイプの人に何か説明をするときは詳細に理詰めで話すのではなく、要領よく概要を話すことを心がけた方が良いかと思います。そして社交的でフレンドリーな性格ですから、相手の堅苦しい態度に対して心地良く感じません。なので、このタイプの人と接するときは気さくに接しましょう。
また、本人を否定しするようなアプローチはご法度です。常に主役でいたいのが感覚タイプ(プロモーター)ですから、本人を否定することなく承認しつつ、「他にこんな案もあります」という形で意見を提案した方が賢明です。更に他者から何かを一方的に押し付けられるのも好みません。本人の意見を最大限尊重したうえで、お願いする方が良いでしょう。そして自分より目立つ人間を面白く思わないのもこのタイプの特徴です。本人に花を持たせることも意識して接した方が良いでしょう。
いかがだったでしょうか?感覚タイプ()についての説明は以上です。実は筆者の私もこのタイプ。このタイプの特徴をもうひとつ挙げると「場をしきるのが好き」ということもあります。私にとってファシリテーターという仕事は天職(?)なのかもしれませんね。(笑)
お読みいただき、ありがとうございました。次回は協調タイプ(サポーター)についてご紹介します。