苦手なあの人とどう付き合う?②~タイプ分けの2つの軸~
今回はアドラー心理学とは異なる「ソーシャルスタイル」についての続きになります。
前回はこの「ソーシャルスタイル」について、
・人を社会的行動から4つのタイプに分ける。
・自分及び他者がどのタイプかを知ることで、人間関係を築く上で適切な対応が可能になる。
・しかし、全ての人間を4つのタイプにわけられるかというと人はそこまで単純な生き物ではないので、このタイプ分けへの過信は禁物。
・4つの分け方は2つの軸を直角に交差させることでできるマトリックス4象限で表す。
・2つの軸のうち1つが「感情表現度」、もうひとつが「思考表現度」という。
以上の点について説明しました。⇒詳しくは「苦手なあの人とどう付き合う?①」
今回は2つの軸、「感情表現度」と「思考表現度」について、それぞれ説明したいと思います。
「感情表現度」とは?
これは書いてある漢字の意味そのままなのですが、感情が態度や表情など表に出るか、出ないかで判断します。感情が表に出やすい人は「感情表現度が高い」、感情があまり表に出ない人は「感情表現度が低い」ということになります。
感情表現度が高い人の特徴は、まず親しみやすい雰囲気があり、会話をするときは身振り手振りを交えて話します。声には抑揚があり、感情を込めて話します。性格はどちらかと言うと大雑把。細かいことをあまり好みません。そして人間関係について関心が高いことも特徴です。
一方、感情表現度が低い人というのは、会話の際に身振り手振りは使いません。声の抑揚もあまりなく、淡々と、そして論理的に筋道を立てて話す傾向があります。性格的には人と一緒にワイワイ活動するよりも、どちらかと言えば一人で緻密にものごとを進めることを好みます。また意思決定の際、データや数字など客観的な情報を重視する点も特徴として挙げられます。
「思考表現度」とは?
思考表現度とは、自分が考えていること、思っていることを自分の意見として表現できる度合いです。言い換えれば「主張的な人」か、「主張的でない人」かということで、主張的な人であれば「思考表現度は高い」、逆に非主張的な人であれば「思考表現度は低い」ということになります。
では思考表現度が高い人にはどんな特徴があるかというと、まずとても早口で、ストレートなものの言い方、そして断定的な話し方をします。研修や会議などの場でも、口を切るのが周りの人達より早く、時に他人の話に割って入ることも頻繁にあります。また決断が早く、物事のプロセスよりも結果を重視し、競争的な環境を好むタイプです。リスクを伴う状況でも果敢に挑戦します。
逆に思考表現度が低い人というのは、話すペースはゆっくりで、穏やかに婉曲的な話し方をします。議論の場でも他の人の話を最後までしっかりと聞くタイプです。意思決定はじっくりと時間をかけて行い、物事の結果よりもプロセスを重視します。競争や対立を好まず、リスクを伴う状況を極力避けようとします。
「良い・悪い」ではない
以上、「感情表現度」「思考表現度」のそれぞれについて説明しました。これら各軸の「高い・低い」をそれぞれ組み合わせて4つのタイプを作っていくのですが、ここで注意があります。各軸の「高い・低い」は「良し悪し」とは全く関係ありません。「高い・低い」という表現を使うと、つい「高い」方が良いのではないか等を思ってしまいがちですが、そんなことはありません。「高・低」どちらも個性であり、どちらにもポジティブな面とネガティブな面を持ち合わせています。くれぐれも「高い(低い)方が優れている。低い(高い)方が劣っている」という議論に持っていかないようにしてください。
次回以降は、いよいよ4つのタイプについて、それぞれタイプ毎に見ていきたと思います。